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【マーケティング】ビッグデータベースボール トラヴィス・ソーチック

こんばんわ、読書くんです。今日は愛する野球を軸として、分析(or マーケティング的な?)関連の一冊。

 

 

【歴史的に類を見ない、本気のデータ分析導入】
2010年からクリント・ハードルが監督になるも、二年連続で負け越していたピッツバーグ・パイレーツ。というか、もはやその頃パイレーツは20年間勝ち越しすらしていなかった。

そしてこの時にGMに就任したのがニール・ハンティントン。
なんとプロ野球の出場経験は全くない。。。ただエキスポズで選手育成副部長を経験した後、インディアンスでデータを用いた野球に触れた。

例えば、過去22年間で35歳以降に超一流に値する活躍をしたのはバリーボンズのみ。球団年俸総額の15%以上を1人の選手が占めているチームは1985年以降ワールドシリーズを制覇していない、などハンティントンはデータでチームを見るクセをつけた。

ハンティントンはインディアンスでGM補佐をした後、パイレーツGMへ。ダイヤモンドビューをインディアンスが活用してから10年、アスレチックスの活躍を描くマネーボールから4年経過した頃だったが、パイレーツにはデータ分析部門すら存在していなかった。ハードルとハンティントンは、2013年のシーズン開幕前に2人で話し合った。方向性は守備力の強化。アスレチックスの出塁率とは違う観点だった。

具体的には、大量のデータ、他の球団が使いこなせていないデータを活用する。守備位置を変え、配球を変える。それに基づき選手に投資する。 もともと守備シフトの変更は、データではなく現場の監督や選手の経験に基づいて決断されていたものを、このようにすべてデータに基づいた戦略に大きく舵をきったのだと。

2011年に極端な守備シフトを最も多く採用したのはレイズ。統計分析で守備防御点が一番良かったのもレイズ。まずはマイナーの試合で守備シフト変更の効果を試していった。 この頃、シカゴ本社のスポーツビジョン社は、PITCHf/xを開発。2008年にはメジャーリーグ全球場に設置された。球速、球種、ボールの動きなどのデータを計測。1シーズン2000万以上のデータを自動作成する。これは20世紀の100年間に野球の世界で記録されたデータ総量とほぼ同じというから驚愕である!

ピッチフレーミングという、ボール球をストライクに見せる技術でデータをとったところ、捕手により圧倒的な差が出た。これは今までデータがとれなかった事で軽視されてきたことの証明でもあった。例えばヴォロス・マクラッケンは、インプレイの打球に関しては投手ではなく野手に責任がある事を発見した。投手の見るべき、評価すべき数値が違うことを示した。

そしてシーズン開幕後、大胆な守備シフト変更を実施。この効果はすぐに出ることとなる。 ただし困惑した選手も少なからずいた。データを使うというのは簡単にみえるが、実際には大胆なデータの活用は、大体が現場の常識を大きく変えることとなる。これを実行までやりぬいたことこそ、一番の偉大な成果だったと思う。

そして2013年、パイレーツは勝ち越しを成し遂げる。ポストシーズンにも進出する。データ活用は今ではどの業界でも当たり前に行われていることだが、これを野球で先駆けて駆使していたのが非常に面白い。是非一度読んでみていただきたい一冊。
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