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【経営】~教科書取りの経営術~星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則 中沢康彦

こんばんわ、読書くんです。今回は旅行好きなら知らぬ人はいないでしょう、星野リゾートについての一冊。

 

星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則

星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則

 

 

【教科書どおりの戦略戦術術】
著者は日本経済新聞社編集局企業報道部シニア・エディターの中沢氏。
フォーカスをあててるのは、家業である宿泊業をついて星野リゾートとして一大ブームを作り出した実業家、星野佳路氏。星野氏がリゾート経営をする上で参考としていった本について、その当時の状況と合わせて細かく解説してくれている良書です。

 

家業を引き継いだ当初、星野リゾート(当時は星野温泉)は収益が悪化していたといいます。収益改善のために着手した方向性が「高級化を進め、コストも下げる」というもの。

 

この戦略の元となったのが「競争の戦略 by M.E.ポーター」。この戦略論いわく、企業が競争力を高めるためには、競合するライバルの動向に気を配る必要があると。企業の基本的な競争戦略には、「コストリーダシップ」「差別化」「集中」の3つがあります。業界構造の成熟度に応じて、競争戦略を考えることで、ライバルに勝つことができると。裏を返すとライバルの動向を見極めることで、競争を避ける戦略を取ることもできる。新規参入の際には、先行するライバルの戦略を見極めることが重要です。

 

これを星野リゾートに当てはめると、当時、北海道の5大リゾートの中で埋没していたといいます。ライバルに勝つためには、、、と考えた結果、フォロワー戦略を捨て、ニッチャー戦略へと突き進みます。ここで参考にしたのが、「コトラーのマーケティング・マネジメント 基本編」。自社の戦略を立てるには、競合する他社との関係を知ることが重要であるのは、先述した競争の戦略のとおりです。企業は市場での地位に基づいて、「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」に分けられます。

 

リーダーは、トップシェア企業として、「市場規模の拡大」「市場シェアの保持・拡大」などが重要な戦略となります。チャレンジャーは、市場シェア2番手の企業として、シェアを拡大するためにリーダーや同規模の会社を攻撃することが重要です。また、フォロワーも市場シェア2番手だが、波風を立てずに「リーダーをどのように追走するか」がポイントになるフェーズ。フォロワーの戦略は報われない場合も少なくないですね。そして死後に、ニッチャーは、大きな市場でフォロワーになるのではなく、顧客、品質、価格、サービスを絞り込んだ小さな市場でトップに立つ戦略を立てることが重要。

 

星野リゾートは自身のフェーズを「ニッチャー」と定義し、まずは星野リゾートといえば、というブランディングを作ることに特化しました。これが今も守れる「高級」というジャンルですね。いくらお金がかかろうとも「星野リゾート」なら、というブランディングを確立し、いつでも予約がいっぱいです。じゃあそれは奇抜なアイデアから生まれたかと言うとそうではなく、勤勉な星野氏らしく、様々な情報源、本書では「本」からその戦略の着想を得てきたと。

 

この他にも各フェーズでの課題に対して、誰もが手にできる経営などの本から適格に必要な情報を入手し、実際の戦略・戦術に落とし込み実行していきます。机上の空論ではなく、実施した事例も踏まえた一冊。是非手にとって見てほしいです。経営って苦し楽しいんだろなー。ではではー