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【一般教養】フランスはどう少子化を克服したか 高崎順子

こんばんわ、読書くんです。今回は日本が抱える社会課題について学ぶ一冊。

 

フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)

フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)

 

 

【本気とはこういうこと】
フランスでは毎年9月、その年に満3歳を迎える子供、つまり2歳9ヶ月から3歳8ヶ月の子供たちが一斉に「保育学校」に入学します。義務教育ではないものの教育費は無料、2015年時点の入学率はほぼ100%です。

フランスは過去10年、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の平均数)を2.0前後で維持し、「少子化対策に成功した国」と言われています。本書はその変遷を追ったもの。

 

フランスではサラリーマンの父親には3日間の出産有給休暇があり、これは1946年に制定されました。休暇中の給与は雇い主が負担し、拒んだ雇い主には罰金があり取得率はほぼ100%。出産有給休暇が終わった男性には今度は11日連続の「子供の受け入れ及び父親休暇」が発生。この2つの休暇を合わせた2週間が男の産休と呼ばれます。

最初の3日間は雇用主が、11日連続は国(社会保険)が給与をまかなうのです。国からの支給額は休暇前給料の日給相当額(2016年1月現在で1日83.58ユーロが上限)。

 

フランスでは「国のために人口を増やそう。子供を産もう。」とストレートに主張されることはなく、子を持つか否かはあくまで「家族の自由な選択」であり、国家はそこに介入しません。官報や報告書でも「人口増加」の言葉の代わりに「出生率の維持」「世代の更新」という表現が使われるほどです。

この時点で思ったのは、日本は声高に叫ぶ割には、有用な制度を国が作っていないんだよなあと。PRが大事なのではなく、本気度の問題だということがここに現れてますよね。

 

また、育児は手伝うのではなく、携わるもの、という認識が根付いています。3日間の父親産休、11日間の父親休暇とは別に最長2年の育児休暇を取る権利があるが男性の取得率は2%に留まっていました。これをオランド大統領就任後、2014年8月には法改正を行います。2014年以前の育児休暇は、子供一人世帯の場合半年間、二人目からは1年ずつの更新で計3年間。休暇中には国の家族手当金庫より、収入源補填の補助金がありました。

 

今回の改正で一人目から一世帯一年間取得でき、家族手当金庫の補助金も受給できることになったのですが、その条件に「男女の親が6ヶ月ずつ育休を取得すること」が加わったのです。(実は、日本でも2009年に育児・介護休業法が改正され、子供が1歳になるまで申請すれば、男性も1年間の育児休暇を取得できるようになっています。)

 

育休を取ることでメリットが大きくなる、またそれを許容する風土を作る。日本人はまだまだ課題が山積みですが、もっと国が本気になる必要があると強く感じさせられる一冊でした。この流れで読書くんは国会進出を目指すと物語としては綺麗なんですが、ゆっくり本を読みたいので遠慮しておきますwではではー