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【人事】表彰制度 会社を変える最強のモチベーション戦略 太田肇

こんばんわ、読書くんです。今回は組織活性化に薬とも毒ともなる表彰制度についての一冊。

 

表彰制度

表彰制度

 

 

【それは誰のための制度か】
著者は同志社大学 政策学部 教授の太田肇氏。専門は組織論で、とりわけ個人を生かす組織・マネジメントについて研究している人物。

 

「表彰は、使い方によっては特効薬にもなれば、猛毒にもなる。」と著者は言います。アメリカでは、企業でも役所でもたくさんの表彰制度が取り入れられていますが、それに比べて日本は普及度合いが低いのが現状です。

よくメディアでも取り上げられるのでご存知かと思いますが、仕事に対して、意欲的である、とアンケートに回答する人は日本は非常に少ないです。同じ先進国のアメリカ、イギリス、フランスなどと大きい差があります。

 

現代が「やり甲斐」の時代になってきましたが、それでも「承認欲求」は変わらず人間の欲求の中で大きな割合を占めています。むしろ「やり甲斐をもって何かしている自分どうよ?」を認められたい・褒められたいという欲求が大きくなっているようにも感じるので、深刻化しているかもしれませんね笑

この承認について面白い研究結果が出ているのが、「アンダーマイニング効果」というものです。これによると、仕事そのものに動機づけられているときに外から報酬が与えられると、逆にモチベーションが低下するといいます。

 

ここでようやく表彰の話に戻りますが、表彰のメリットはモチベーション向上がメインです。またメッセージ効果という副次的な効果もあります。これは受賞者を見れば、メンバーに何が求められるかが分かる、つまり社員に「これがベンチマークだよ」というメッセージを送ることで、社員の目標が定まったり、視座が高まるということですね。

 

ここからは実際に企業名も記載した事例を列挙していました。
例えば共進精機株式会社は、3S活動に力を入れており、毎年3S活動をチームごとに20分プレゼン。その場の採点により、優秀賞を決めていくという表彰制度を設けています。
他にも太陽パーツ株式会社では、大失敗賞を与え、前向きな挑戦をしたにも関わらず結果的に失敗した人を表彰しています。これはとりわけ会社が何を大事にしているのか、というのを社員に伝える意味でわかりやすい事例ですね。

 

IT業界有名なのは、サイバーエージェント。同社では半期ごとにベストプレーヤー、ベストマネージャー等12の賞で表彰しています。また、部署ごとに毎月の締め会で表彰もしています。表彰はレッドカーペットの上で華やかに行われる等演出にも力を入れているのも特徴的です。

報酬と名誉が、モチベーションの2つの柱なのですが、サイバーエージェントはとりわく後者を大事にした表彰の雰囲気作りを徹底しているというこ、とですね。

 

表彰は奥深く大きな効果を発揮することもあれば、逆に社員のモチベーションを大きく下げることもあります。選考プロセスが不明確、あきらかに出来レースの選出などは社員から働く意味を簡単に持ち去ってしまいます。

会社づくり・組織づくりに携わる方にはぜひ読んでみて欲しい一冊。空いている時間に一読を!ではではー